COLUMN

トニックとは何か?ージントニックの成り立ちー

2025/01/14

ジントニックと言えば、最もポピュラーなカクテルの一つ。

ジンとトニックウォーターを使ったシンプルなレシピでありながら、甘味・苦味・風味の調和の取れた味わいを持つことで万人から絶大な支持を受けています。

ジントニックに欠かせないトニックウォーターですが、一般的に流通している商品は、その成り立ちとは少し違う姿になっていることはご存知でしょうか?

 

トニックウォーターとは、元々、キナを苦味剤として添加した飲料のことを指していました。

キナは、熱帯に自生する植物であり、これまた熱帯の伝染病であるマラリアに対する薬効成分を持っています。

大航海時代に、熱帯へ進出した西洋人は、熱帯の風土病である、マラリアに苦しめられました。そんな彼らがその特効薬として用いたのが、このキナでした。

元来のトニックウォーターは薬として飲まれていたのです。

マラリアの激烈な症状を抑えるキナは、西洋人にとって神がかり的に映ったのかもしれません。

熱帯から持ち込まれたキナは様々な薬効を持つ万能薬として信じられ、その後、長きにわたってヨーロッパ中で広く利用されることとなりました。

 

カンボジア産キナの樹皮。MAWSIM TONIC SYRUPの原材料として使われている。

 

このような背景で広まったキナですが、とても強い苦味成分があり、それ単体ではとても飲めたものではありませんでした。

そこで、トニックウォーターに酒やチョコレートをブレンドしたりと、飲みやすくするための多種多様なレシピが考案されました。

その中でトニックウォーターにジンをブレンドしたジントニックも生まれました。

ジントニック発祥の地は定かではありませんが、最初に広まったのは、イギリス植民地下のインドだったようです。マラリアの存在するインドにおいて、イギリス人に愛飲されたことが世界的に広まるきっかけとなりました。


その後、マラリアの特効薬が化学的に合成されるようになったため、トニックウォーターの薬としての役目は失われていきます。

しかし、その頃には、嗜好品としての需要が生まれていました。初めは酒で苦味を誤魔化していたものが、時間をかけて洗練され、酒に欠かせない素材となったのです。

 

MAWSIM TONIC SYRUPの味わいは複雑でありながら、ジンの風味に調和し、爽やかなジントニックへと昇華させる。

 

そして1900年の中頃にはアメリカに渡り、飲料メーカーの広告戦略によりジントニックが定番カクテルとして人気を博しました。ここに至り、トニックウォーターは世界中で消費される定番商品へと登り詰めたのです。


そんなトニックウォーターですが、現在製造されているものには、肝心のキナが入っていません。

天然のキナはコストがかかるため、人工的な香料で代替されているのです。


MAWSIM TONIC SYRUPは、カンボジア産のキナを使用。

世界的に貴重な本物のトニックの味をお楽しみください。


クラフトジンにTONIC SYRUPを滴下し、ソーダを適量。

トラディショナルなジントニックを味わいながら、その歴史に想いを巡らせてみるのはいかがでしょうか。

 

MAWSIM TONIC SYRUPをソーダで割り、ブラックライトを照射した様子。キナは紫外線を受けると蛍光を発する性質がある。この性質を応用し、カクテルの演出にブラックライトを使うバーもあるのだとか。